第100回 全国高校野球選手権記念石川大会展望

第100回を迎える全国高校野球選手権石川大会の組み合わせ抽選会が6月27日に行われた。大会は7月12日に開幕し、決勝は7月25日に行われる。
第1シードには、選抜ベスト8、春季北信越三連覇の星稜、第2シードには同じく選抜ベスト8の航空石川。星稜は春の調子を夏まで持続することが出来るか、航空石川は夏に向けて打撃が上昇してくるかが鍵。節目となる100回記念大会は、春に続いてこの二校が中心になる。石川の熱い夏がいよいよ開幕する。    

百戦錬磨のメンバーと新戦力の融合

選抜3回戦では滋賀の近江に延長10回サヨナラ勝ち、準々決勝では三重との死闘の末に敗れたが、23年ぶりにベスト8入りした星稜。三重との試合の3日後には、京都の龍谷大平安と強化試合、宮崎県の招待試合で2試合戦い、臨んだ春季石川大会では、決勝で宿敵・航空石川を破り昨秋の借りを返した。 その勢いは止まらず、地元開催の春季北信越大会でも関根学園、富山1位の高岡商、長野1位の佐久長聖を破り優勝を果たし、春季北信越大会三連覇を達成した。

この春の県大会と北信越大会では、中学時代に華々しい実績を残した1年生が新たにメンバー入りした。星稜中時代に全国制覇も経験している内山、知田、荻原と、根上中で全国大会に出場した寺西の4人だ。内山、荻原、寺西はU15日本代表にも選ばれているメンバーで、彼らの加入により一層メンバーの厚みが増した。春から1年生がこれだけベンチ入りするという不安要素もあったが、内山は県大会から3番・遊撃手のレギュラーとして打撃でも貢献、北信越大会では荻原と寺西も好投した。これだけ1年生が活躍できたのは、主力である2、3年生あってのものだろう。主将の竹谷をはじめとする鯰田や南保らの3年生、全中制覇バッテリーの奥川、山瀬や全軟制覇の寺沢、東海林らの2年生に、U15日本代表のルーキー内山・寺西・荻原が顔を揃えるスター軍団が、石川県を制覇するだけではなく石川県初の全国制覇も狙える位置にあるというのは過言ではない。

経験値が高く強力打線が売りの航空石川

そんな星稜が最も恐れるのが、夏春と甲子園に連続出場し、神宮大会では日大三、センバツでは明徳義塾を破るなど、高いレベルでの経験値が豊富な航空石川の存在だろう。県大会決勝では星稜・奥川に完封負けを喫し、北信越大会でも期待していた打線が奮わなかったが、ここで終わるようなチームでない。投手陣には左右のWエース・杉本と大橋を筆頭に、3年生の稲垣や藪下、2年生の重吉や前田など駒が揃う。北信越大会では初戦の富山商戦で3年の上田俊、1年生の嘉手刈など新戦力も登板するなど、この夏には他にも新たなメンバーが潜んでいるのではないかと期待してしまう。 打の中心である上田優に小板や的場、北信越では不調だった原田や二桁ナンバーに下がった長谷川も調子を取り戻し、上位から下位までどこからでも得点能力のある重量級の打者が並ぶ打線は県下一。 この夏、石川覇者を奪還し、二連連続となる夏の甲子園を狙う。

春3位の金沢学院と金沢

金沢学院は、昨秋に続いて県大会ベスト4と安定した成績を残している。北信越大会ではベンチ入り18人中17人が3年生。1年の秋からバッテリーを組む田中と中を中心に、経験豊富な3年生たちが原動力となっている。パンチ力もあるトップバッターの権谷、キャプテンで守りの要でもある中と矢富は、春季大会で4割を超える打率を残している。投手では、御影池が3回戦の石川県工戦で先発完投したのが収穫。全員野球で2強の壁を破り、初めての甲子園出場へ意欲を燃やす。

昨秋は金沢市工に敗れて初戦敗退の金沢が、この春は昨春に続いての4強入りで意地をみせた。金沢も3年生が中心だが、寺前、朝賀、森下、樫見など多くのメンバーが1年の秋から出場しており、2年の春には星稜を破って県大会優勝、北信越大会では準優勝と実績も豊富だ。小技や機動力が目立つが、4番を打つ森下やキャプテン樫見、中軸を打つ松山など、パンチ力がある選手も多い。投手陣は左の二枚看板が売り。エースナンバーをつける大筆は、打たせてとる投球が持ち味。春の県大会は15イニング無失点、北信越大会でも上田西相手に11回を完封するなど安定感は抜群。向井は140キロを超える本格派で、クローザーとして登場する。この二人に加えて、3年の石見、2年の辻本ら投手陣の継投で勝ち抜きたい。

侮れない公立校&私立校

対する公立校も負けてはいない。昨秋ベスト4の立役者である2年生エース・小川を中心とする小松は19年ぶりの甲子園を目指す。春に北陸学院を倒した津幡は、エース・戸部の復活に加えて相原、黒田など勝負強い打者が並ぶ。奥能登から県内屈指の左腕に成長した飯田の木挽が最後の夏を迎える。去年の全中に出場した根上中のスタメンが多く入った寺井も面白い存在だ。その根上中メンバーや、星稜の寺西たちのひとつ上の代でキャプテンだった惣田が、2年生エースとして古豪・金沢商を引っ張る。その金沢商と公立人気を二分する桜丘も奥成や高井、茶木などの好打者に加えて、2年生・谷内も楽しみな逸材だ。七尾の横山は、球速140超のストレートが武器。大聖寺実は経験豊富な左腕・松浦の投球と、高校通算本塁打は県内トップクラスの主砲・北川歩が投打の柱。県工は山崎、向と投手陣を中心に競り合う展開に強い。金沢市工は、絶対的エースに成長した堀田の投球に注目。

私学勢では、近年安定した力を持つ北陸学院が有力か。昨秋は遊学館を延長の末に破るなど地力をつけてきた。宮本、岡本とホームランバッターが揃う打線と、エース・小竹を中心とした投手陣で優勝を狙う。小松大谷は、県内最速レベルの速球を持つ大谷投手に注目、打者では3年・小滝、2年・山根のバッティングには光るものを感じる。鵬学園は、昨秋は羽咋、今春は小松といずれも初戦敗退と元気がないが、安定感のあるエース・中島を軸に打線の援護で上位を狙いたい。今年から校名変更した金沢龍谷(旧尾山台)は、平魯投手など2年生にも好選手が多い。

ノーシードから頂点を狙う遊学館

春の練習試合では、智弁和歌山を相手に30失点と投手陣が崩壊した遊学館。この後の工大福井との練習試合では、投手陣が工大福井を1失点に抑え、牧野のサヨナラホームランで勝利。少しバテ気味の打線も春季大会前に骨折した4番・田中が戻り、伊藤、坂元は依然として打撃が好調だ。新守護神の誕生で投手陣も整備されつつある。この歴史的大敗がチームにとって大きな発奮材料となった。

一昨年は準決勝、去年は前評判を打ち破っての決勝進出と夏には結果を残してきたが、ここ数年は星稜、航空石川に置いていかれている感じは否めない。昨秋は北陸学院に延長の末にサヨナラ負け。春の大会では小松工に勝利したものの、次戦の金沢戦では、エース・大筆の前に完封負けを喫するなど、らしくない戦いが続いている。1年の夏から共に捕手としてベンチ入りしていた牧野・井川もいよいよ最後の大会。この二人が今年はバッテリーとしてチームを牽引する。去年の3年生を見てきた今年の2、3年生は、今年も強い遊学館の伝統を受け継いでいると信じている。